蓮如上人
蓮如上人の『御文』に学ぶ  
 

 蓮如上人は、宗祖親鸞聖人の真宗の教えを、当時の誰にでもわかるやさしい言葉の『御文』にして人びとを教化されました。
 私たちは、この『御文』を阿弥陀如来からのお手紙として、その教えをよくよくこの身に頂き、本願の生活者の道を歩みたいものです。
 多くの御文の中から八十通の選集とされましたのが『五帖御文』(ごちょうおふみ)です。わかりやすい言葉とは言われますが、その内容は真宗の教えの根幹をなす大変深い意味が込められています。何度も繰り返して、よくよく教えの要を学んでいくことが大切かと思われます。

 
 

 その中の代表的な『御文』として第五帖の十通目の『御文』に依りながら、上人の教えをお聞きしてまいりましょう。
 (本文)
 聖人一流(しょうにんいちりゅう)の御勘化(ごかんけ)のおもむきは、信心をもって本(ほん)とせられ候う。そのゆえは、もろもろの雑行(ぞうぎょう)をなげすてて、一心に弥陀(みだ)に帰命(きみょう)すれば、不可思議の願力(がんりき)として、仏(ぶつ)のかたより往生は治定(じじょう)せしめたもう。そのくらいを「一念発起(いちねんほっき)入正定之聚(にゅうしょうじょうしじゅ)」とも釈し、そのうえの称名念仏(しようみょうねんぶつ)は、如来わが往生をさだめたまいし、御恩報尽(ごおんほうじん)の念仏と、こころうべきなり。あなかしこ、あなかしこ。

 

 (大意)
 親鸞聖人の教えとはどのようなものでしょうか。それは「信心」こそが根本であるという教えに違いありません。
 もう少し詳しく言いますと、一生懸命に努力する自力の修行をすべて振り捨てて、ただ一心に余念なく阿弥陀如来に帰命するならば、私たち人間の頭で考える分別心(ふんべつしん)を超越した仏の本願力によって、如来の方から私たちを往生せしめて下さるのです。
 このように往生が確定した人になることを、「信心歓喜(かんぎ)の一念が起こってくれば、真実の世界に生まれることが確実な仲間の一員となる」とも説かれるのです。
 信心が定まった人には、おのずから念仏を称える生き方がはじまるのです。念仏を称えるとは、如来の声を聞くこと、つまりは聞名(もんみょう)なのです。
 信心をいただく身となってみれば、「信心獲得(ぎゃくとく)」というそのこと全体が、如来の願心(がんしん)から起こってきたのだと確かにうなずくことが出来るでしょう。それが真宗の絶対他力の教えということでありましょう。
 往生確定の信心をたまわった上は、ただ仏恩報謝の念仏一筋の道があるばかりと知るべきでしょう。このこと、よくよく心得てください。

       
 

 (語注)
「雑行(ぞうぎょう)」-正行(しょうぎょう)(本願念仏の行)に対する言葉、諸々の自力の行のこと。
「一念発起(いちねんほっき) 入正定之聚(にゅうしょうじょうしじゅ)」-『大無量寿経(だいむりょうじゅきょう)』の中の「本願寺成就文(ほんがんじじょうじゅもん)」に、「あらゆる衆生(しゅじょう)、その名号(みょうごう)を聞きて、信心歓喜(かんぎ)せんこと、乃至一念(ないしいちねん)せん。心を至(いた)し回向(えこう)したまえり。かの国に生まれんと願ずれば、すなわち往生を得て不退転(ふたいてん)に住(じゅう)す」と説かれています。
 「我が国に生まれんと欲(ねが)えよ」との如来の呼び声を聞いて、それまでの自力の心をひるがえして、信心の心が全身に満ちあふれる念仏を申す身となる。それは久しく迷い続けて生きてきた者に、真実に目覚めた人間となるようにと、如来がはたらきかけて下さっているからでしょう。真実の世界に生まれたいと願って、信心歓喜の一念がこの身に発起して下さった時、必ず往生が確定して二度と退転することのない人生を生きる人となる―と教えて下さっているのでしょう。
 上人は、この本願成就文を中心にしながら、親鸞聖人の「この現生(げんしょう)において正定聚なる仏道を生きる」という考えを『御文』に示されたのでしょう。
「仏(ぶつ)のかたより」-念仏を往生のための手段と考え、努力して念仏に励むのは自力の心でしょう。「回向(えこう)」はすべて如来のおんはたらきと教えられます。親鸞聖人の「如来よりたまわりたる信心」という教えを、蓮如上人は「仏のかたより」とお述べになったと頂けましょう。

 
       
 

 ほかにも大切な『御文』はたくさんあります。やさしい言葉で書かれたはずの『御文』も、現代では読みづらくなっているものもありますし、真宗の教えの専門用語もまじり難しい『御文』も多くあります。聞法によってよくよく学ばせて頂きましょう。
 また、蓮如上人の日常の語録としての『蓮如上人御一代記聞書』にも、多くの教えが示されています。現代の私たちの生きていくよき指針として仰いでまいりたいものです。

 
 
 
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